BBQで『豚肉』が選ばれる理由
『豚肉』より牛肉の方が高級、高価でありがたいイメージがありますが、アメリカの国民食としてBBQが愛されるきっかけになった最初の食材は、実は牛肉ではなく『豚肉』であることをご存じでしょうか。さらに、疲労回復に最適なビタミンB1は『豚肉』には牛肉の10倍も含まれるというですから、元気いっぱいで満喫したいアウトドアのBBQではぜひ取り入れたい食材の一つです!
オススメ!『豚肉』の初級・中級・上級者別レシピ♪
初心者にウレシイ!!豚バラブロックのBBQ
焼き目は全面に!面を変えて全面に焼き目をつけましょう
塩コショウのタイミング!塩コショウはアルミホイルに包む直前です
焼けたらすぐ放置!アルミホイルはすぐ開けないこと。10~20分放置。我慢です!
お肉の温度管理!野外では焼く前のお肉の温度管理に注意しましょう
中級者はやってみよう!!一枚で豪快に焼く!スペアリブのBBQ
スペアリブの薄皮のはがし方
甘皮は滑りやすいのでキッチンペーパーを使うとしっかり掴むことができはがしやすい。アルミで包む際、底の面は特にしっかりとアルミは鍋替わりと思ってください。火が通ったかの確認方法は、スペアリブから骨が出たら火が通った証拠です。
上級者なら!!バーベキューソースを手作りしてみよう!
レキシントンバーベキュー#1(西部ノースカロライナ式ソース)
サラサラとした薄めのソース。 ※レキシントン#1は、ノースカロライナ州西部で最も人気のあるバーベキューレストランの一つ。 ※このレシピはレストランの仕上げ用ソースで、ディップとしても使われている。
ちょっとコーヒーブレイク♪
今回はノースカロライナ州、西部のレキシントンのバーベキューソースをご紹介しましたが、同じノースカロライナでも東部と西部でバーベキューソースの調理法が違うのです!ただ、どちらもソースのベースにも、酢が使われています。これは、ノースカロライナに最初に入植した英国人が、自国の食事、フィッシュ&チップス(白身魚のフライとフライドポテト)といった料理に酢を振りかけて食べていた習慣からきているのかもしれません。
AMERICAN BBQ ガイドブック(米国食肉輸出連合会)【おまけ】豚肉の柔らかさを堪能♪プルドポーク
今回、初級・中級でご紹介したBBQレシピは、蒸し焼きにすることで焼き時間40分程でできるBBQレシピでしたが、本場のアメリカン・スタイルのBBQは、前述したように、12時間とかかなりの時間をかけてホロホロになるまでじっくり炙ります。 BBQに日本に住む私たちがそこまで時間をかけるのは、泊りでキャンプに行っているなど時間に余裕がある場合や、自宅で終日BBQができる環境になくてはならない、など難しい場合が多いですよね...。
でも、せっかくなので、この裂けるほど柔らかく調理された豚肉BBQを家庭で気軽に味わえるレシピを紹介しちゃいます♪
プルドポークの語源
Pulled:引き裂かれた、むしられた
Pork:豚肉
BBQ肉は豚が本家!?BBQの本場、アメリカでは牛肉ではなく『豚肉』からBBQが始まった
アメリカの豚はどこからやってきた?
豚は、大航海時代にヨーロッパから探検家の船に乗って、キューバや西インド諸島、そして1540年頃に北アメリカ大陸に伝えられました。17世紀、イギリスから初期の入植者たちがバージニア及びノースカロライナの植民地において、豊富な食糧源だった豚の調理に用いたのがアメリカで最初のBBQと言われています。
アメリカ初期の豚の調理方法
アメリカのBBQ発祥の地と言われているノースカロライナのバーベキューの手順はシンプルです。地面に、深さ90センチ位の長い溝を掘ります。そしてその底には、木材を蒸し焼きにして作った木炭を敷き詰め、木の枝や丸太を組み合わせた格子を溝の上におき、格子の上に身体をパックリ開いておいた丸々一頭の豚をのせて12時間程かけて炙って出来上がりです。
12時間もかけて炙られた豚肉は、非常に柔らかくジューシーで、簡単に骨から外れます。美味しそうですよね~♪これだけ時間をかけると、どんな部位のお肉もホロホロになります。そしてこれだけ柔らかいと、老若男女問わず誰でも食べられます。この特徴が、BBQがアメリカの国民食の一つに数えられる理由かもしれませんね。
アメリカ初代大統領をはじめ、上流階級にも愛された豚の丸焼きBBQ
この調理方法でつくられるBBQは、当時の上流階級の人たちにも人気だったようです。アメリカの初代大統領、ジョージワシントンもかなりのBBQ好きで、バーベキューに行ったきり、3日間も戻らなかったことがあったとか。
19世紀中頃まで、バーベキューの調理を担当するピットマスターは、主に黒人の奴隷でした。そしてその味は、このように上流階級にも支持されました。アメリカの国民食にまでなったBBQの調理の礎を築いたのは、黒人奴隷だったアフリカン・アメリカンだったのです。
【おまけ】BBQのステーキ肉が『豚肉』から牛肉へ変わっていった背景
1800年代初頭、BBQ発祥の地と言われるバージニア及びノースカロライナ等の南部の人々がテキサスへ移住しし、綿の栽培を始めます。 こうして、1860年までに、中部の人口の3割をアフリカン・アメリカンが占め、『豚肉』のバーベキューが普及しました。その後、南北戦争後に牧畜業が始まり、州の中心部と西武の草原に、カウボーイ、牧牛者達が移動するようになると、1870年代には、テキサスは牛の州に変貌します。
テキサスの牛肉は破格の安値となり、『豚肉』より牛肉を使ってバーベキューをした方が、経済的だということになり、牛肉がBBQの主流になっていきました。 テキサスがアメリカのBBQ本場の地域の一つと言われ、そして牛肉がBBQで使われるようになったのは、このような背景があったからなのです。
アウトドアの疲労回復に最適なビタミンB1は牛肉の10倍!!
筋肉疲労に役立つビタミンB1の『豚肉』の含有量は、食品の中でもトップクラスです。玄米の2倍、牛肉の約10倍も含まれており、脂身の少ないヒレ肉60gで、1日に必要なビタミンB1の約半量が取れます。
やっぱり嬉しい!リーズナブル♪
これは言わずもがなですが、牛肉より安価に手に入ります。限られた予算で量を確保したいなら、やっぱり『豚肉』のチョイスはアリですよね!
『豚肉』のアレコレ♪(旬・選び方・栄養)
旬はいつ?
通年です。季節を問わず、新鮮なものを手に入れることができます。
選び方は?
・赤身:淡いピンク色でみずみずしい光沢と弾力
・脂肪:白から乳白色でかたく粘りがあるもの
栄養は?
『豚肉』は、糖質を効率よくエネルギーに変えて、筋肉疲労の回復に役立つビタミンB1を豊富に含みます。また、鉄やリン、カリウムなどのミネラルも豊富で、貧血や高血圧などの予防に役立ちます。
BBQに最適な『豚肉』の部位と入手方法について
BBQに適した部位は他にもありますが、今回は入手しやすい【豚バラ肉】に絞ってご紹介します。
入手しやすい!初心者にもおすすめ、【豚バラブロック】
そもそも【バラ肉】とは?
バラ肉を知らない人はいない、きっと聞いた事ぐらいはあると思いますが、そもそもバラ肉のバラの意味って何でしょう?
バラ肉とは、胴体のあ「ばら」骨についている部位のことをいいます。
【豚バラブロック】は、一般のスーパーでも入手しやすい部位なので初心者向きです。
中・上級者はワイルドな塊肉【スペアリブ】に挑戦!
【スペアリブ】とは?
スペアリブは【骨付きバラ肉】のことをいいます。
豚肉の中でも旨味の多い赤身肉と脂肪が三層になっていることから、三枚肉とも言われています。(そう、沖縄のソーキソバに入っている三枚肉です!) このバラ肉に、肋骨(あばら骨)をつけたままのものをスペアリブといいます。骨周辺の肉は特に味がよいので、これを1枚で野趣溢れるBBQにしたら美味しくない訳はないですよね?
【スペアリブ】を1枚単位で購入する方法
骨付きでも、1枚ではなく切り離してあるものはスーパーにおいてあることがありますが、1枚のかたまり肉は精肉専門店やコストコなどの会員制スーパーで購入できます。
【バーベキューソース】について・上級者は手作りしてみよう!!
アメリカのバーベキューソースは日本の味噌に当たる??
バーベキューの味を決めるのは、もちろん素材ですが、その素材の良さを引き出す調理法、そして下味をつけるバーベキューソースといえます。
日本では、自分で自分のことをほめることを「手前味噌」と言い、その語源はかつて味噌は自家製で各々が造った家庭の味噌を自慢し合ったことから始まったとされますが、バーベキューの本場、アメリカで日本の味噌に当たる言葉は「バーベキューソース」に当たるといってもよいでしょう。 1920年代、アメリカの一般家庭で、自宅の裏庭でBBQが流行るようになった頃、男性がBBQの調理を担当するピットマスターで、女性がバーベキューソース作りや下ごしらえ等の担当だったそうです。 そして、家庭毎でもそうですが、それぞれの地域や伝統の違いで特色があり、それぞれが郷土のバーベキューソースに誇りを持っています。
「ノースカロライナのバーベキューソースが一番だ!」「いや、俺たちのメンフィスだろ」「何言ってるんだ、カンザスに決まってるだろ!」こんな感じです(笑)
市販のバーベキューソースはオイルのおまけから始まった!?
1957年に、クラフト社(※当時。現在のクラフトハインツ(リンクは日本法人)。KRAFTというと日本ではチーズが有名かもしれません)がバーベキューソースの素を発売しました。
当時、クラフト社は食用油の製造をしていましたが、消費者にバーベキューに使ってもらおうとクラフトの万能オイルに19種類のハーブ入りスパイスのパック『QUICK-MIX-BARBECUE SAUCE』のおまけをつけたのが始まりです。そしてその2年後の1959年に、クラフト社は液体バーベキューソースを発売しました。バーベキューソース作りを楽にするクラフト社の提案が消費者に受け入れられ、世界的に広まり今に至ります。
まとめ
いかがでしたか?本場アメリカのBBQ元祖食材、『豚肉』の歴史と魅力、併せてBBQのアメリカの地域性を感じていただけたでしょうか。 『豚肉』の魅力と共に、本場のアメリカンスタイルのBBQを知るきっかけとなっていただければ幸いです。