「BBQ(バーベキュー)」の語源とは?
私たちがよく使う「BBQ」という略語は、英語圏でよく使われる表現となります。英語圏では、「you」→「u」などと似た発音のアルファベットを置き換えて略すことが多く、BBQ(【barbecue】)も「be」を「B」と略して「barBcue」→「cue」を「Q」と略して「barBQ」→「bar」もBと略すようになって、最終的に「BBQ」になったといわれています。
BBQの歴史とは
アメリカ合衆国の植民地時代には主にアフリカ大陸からの黒人奴隷が実際の調理を務めていましたが、奴隷解放後の黒人人口の北部流入とともにBBQの技術は北部にも広まっていきました。また、鉄道や運河の開発とともに西部にもBBQは広まったそう。アメリカ東海岸へ移ってきた人々が西海岸へと移動していった移民が、途中でBBQを伝えていった一帯を、「バーベキューベルト」と呼んでいるそうです。
BBQはアメリカが誇る料理
原始時代に肉を焼いていたのがBBQの元祖とも言え、次第に家や調理器具が発展するにつれて屋内で調理するようになりましたが、BBQだけは未だに屋外で調理しています。BBQはアメリカで発展した料理であり、アメリカ大使館が発行している公式マガジン『アメリカン・ビュー』では、「アメリカが誇る料理、バーベキュー」と紹介しています。
実はBBQ肉は『豚』が本家。とご存知でしょうか!BBQの本場、アメリカでは牛肉ではなく『豚肉』からBBQが始まりました。豚は、大航海時代にヨーロッパから探検家の船に乗って、キューバや西インド諸島、そして1540年頃に北アメリカ大陸に伝えられました。17世紀、イギリスから初期の入植者たちがバージニア及びノースカロライナの植民地において、豊富な食糧源だった豚の調理に用いたのがアメリカで最初のBBQと言われています。
BBQのステーキ肉が『豚肉』から牛肉へ変わっていった背景
1800年代初頭、BBQ発祥の地と言われるバージニア及びノースカロライナ等の南部の人々がテキサスへ移住し、綿の栽培を始めます。 こうして、1860年までに、中部の人口の3割をアフリカン・アメリカンが占め、『豚肉』のBBQが普及しました。その後、南北戦争後に牧畜業が始まり、州の中心部と西武の草原に、カウボーイ、牧牛者達が移動するようになると、1870年代には、テキサスは牛の州に変貌します。
テキサスの牛肉は破格の安値となり、『豚肉』より牛肉を使ってBBQをした方が、経済的だということになり、牛肉がBBQの主流になっていきました。 テキサスがアメリカのBBQ本場の地域の一つと言われ、そして牛肉がBBQで使われるようになったのは、このような背景があったからなのです。
焼きながら食べるのは邪道!?『BBQと焼肉の違い』とは
BBQを料理する人のことを「ピットマスター」と言います。ピットとはかまどのことです。かまどで肉や野菜などを焼き、焼きあがった物をテーブルに持って行って取り分けるのがBBQの原則です。日本では焼きながら食べることが一般的ですが、これはBBQではなく、焼肉とのこと。
ちなみに、新しいBBQ文化の発展を目的に設立された「日本バーベキュー協会」では、食材が焼きあがるまでの待ち時間に、焼かなくても食べられるものを持っていくべきと伝えています。
上記のことから、BBQと焼肉の違いはズバリ!
今までBBQとして行っていたのは全て焼肉だったのか…。というような感じですよね。ではその違いについてさらに詳しく解説していきます。
本来のBBQの料理工程とは・・・
「え、そんなに?」と思うかもしれませんが、本格的なBBQは、調理に15~17時間ほどかかるのが普通なのです。意外と手の込んだ料理ですよね。
調理時には煙や匂いが大量に出るため、専用の設備や換気装置の煙突などがない場合は、たいてい野外で行なわれます。自宅の庭、ベランダやバルコニー以外に、キャンプ場や海岸、川辺、公園などで行うのが一般的です。また、最近ではBBQ専用の施設なども全国的にオープンしていますね。夏場になると利用される方も多いのではないでしょうか。そういった調理と食事を野外で楽しむ行事自体も「BBQ」と呼ばれます。
また、アメリカでは年間数百ものBBQコンテストがあります。しかし調理には時間がかかるので、開催期間は2日間にわたるのだとか・・・。焼き方の種類も単に直接焼くだけでなく、スモークやローストなどがあり、肉をソースに付けたりスパイスをすり込んだりと、下ごしらえに時間をかけるのが本来の調理法だそう。
グリルとBBQの意味の違いはご存じでしょうか?
グリルは、調理用の焼網や網焼き料理のことをさします。BBQと同じような意味で使われるグリルですが、肉や魚、野菜などを網にのせ、直火で焼く調理方法がグリルです。 一方BBQは、グリルと同様に直火で焼きますが、その上にリッド(蓋)をします。つまりBBQは、蒸し焼き風になるのが正しい焼き方ということです。
このことからグリルとBBQの違いは、『蓋があるかないか』がカギとなります。
アメリカでは、グリルは網焼き、BBQは網ではなく鉄板の上に肉や野菜などの食材をのせ、蓋をして焼く料理と認識がありますが、日本ではまだまだ浸透されておらず、TV番組などではグリルのことをBBQと表現されてしまうことも多々あります。違いが分かれば、周囲にも豆知識として自慢できますね!
焼肉の意味は?
皆様もご存じの通り、焼肉は『調理をしながら・焼きながら』食べます。
つまり、焼肉は肉を食べやすく加工しながら食べている。ということなのです!
【焼肉の歴史】
日本で肉食が本格的に解禁されたのは明治時代とされています。しかし、解禁後は焼肉という料理ではなく、牛鍋(すき焼き)や西洋料理(ステーキ、カレーライス、ハッシュドビーフなど)が主流で、焼肉が浸透し始めたのはさらにあとの戦後のことです。
焼肉が広まった理由とは、戦後に在日朝鮮人がはじめた屋台だったそう。日本人が食べずに捨てていた牛や豚の内臓(ホルモン)を直火で焼いて食べさせる、ホルモン焼きの屋台がルーツです。このホルモン焼きにロースやカルビなどの他の食材も加わり、今の焼肉となりました。
こう見ると、BBQと焼肉の違いが一目瞭然ですね。BBQは調理しながら食べるものとお伝えしてきましたが、実は、日本独自での『BBQ定義』があるのをご存じでしょうか。これを見ると納得!?BBQの定義について解説していきます。
■日本のBBQの定義について
日本ではBBQの事を【自分たちで調理を楽しむ、アウトドア要素のあるパーティー】と定義されております。
①「焼き方」
アメリカ式の塊肉等を予め調理して、後ほどみんなで一斉に食べるものから、カットされたお肉等を焼きながら食べる焼肉形式のものまで全てBBQと呼びます。
②「ロケーション」
大自然の中で行うものから、飲食店のテラス席や室内で行うものまで全てBBQと呼びます。※室内BBQと焼肉の違いは、余白(食べる事以外に楽しめる空間)があるかどうかの差になります。
このように日本では、BBQが人口密度の問題や外食事情も相まって、焼き方やロケーション等の括りにとらわれず、独自の形で進化して参りました。そんなBBQには開催時期があるのか?オススメの季節とはいったいいつ頃なのかご紹介します♪
BBQの開催時期は?
BBQが最も活発におこなわれる時期は「夏」です。ただ暑いので熱中症対策や虫よけを考える時期ではありますが、青く澄み切った夏空の下でBBQを行うと、開放感も溢れとても気持ちいいです。
夏以外にも「食欲の秋」と呼ばれる、秋も人気の高い季節の1つです。夏ほど暑くなく、気候が良いので秋は野外でのBBQに特に向いています。紅葉も楽しめる上、季節の魚介・野菜を楽しんでみるのもいいですね。
春は満開の桜の下でBBQが行えます。地方によっては、BBQは桜シーズンに行うのが絶対だとか。会社で宴会の一つとしてBBQを楽しむそうです。
冬は寒いので、一見野外でのBBQは向いてないように思えますが、温かいBBQコンロやたき火を囲んでのBBQは、他の季節にはない楽しさがあり、ハマる人も増えています。
ということは、シーズンだと思っていたBBQ、実はオールシーズン楽しめちゃうのです。好きな季節はあると思いますが、全部に良さがあります。いつもと違った季節でBBQを味わってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はBBQの起源やBBQの違いについて詳しくご紹介いたしました。本来のBBQにはじっくり火を通し、焼きあがったものを食べるといった定義はあるものの、【自分たちで調理を楽しむ、アウトドア要素のあるパーティー】を見つけ出した日本独自の考えには良さが感じられます。そんな空間を楽しむBBQはシーズン関係なく行えるため、いつ企画しても盛り上がること間違いなし♪皆さんでもっとBBQの良さを広めてみませんか?